やたいち日記 |
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『市場のはまぐりは主に三種』
市場では、すべてを一括してはまぐりと呼んでいますが 実は流通しているはまぐりには主に三種あります 先ず、国内産として売られている『ハマグリ』と『チョウセンハマグリ』 そして中国や朝鮮から輸入されている『シナハマグリ』です 【ハマグリ】 湾内で育つ内湾性です 「その手は桑名の焼き蛤」でご存知の伊勢湾は桑名産が有名です 姿は丸みを帯びた三角形で、前縁は丸く後縁はややとがっています 殻の表面は滑らかでつややかな光沢があり 中には濃い単色のものもおりますが、色や模様は変化に富みとてもあざやか 近年は絶滅が心配されるほど水揚げが少なく、ほとんど市場にはならびません 【チョウセンハマグリ】 上記に書いた内湾性のハマグリと違い、鹿島灘や九十九里などの外海で育つ外洋性です 漢字で朝鮮蛤と書くため、よく勘違いされておりますが朝鮮産というわけではありません 本家ハマグリに対して異国的なという意味で朝鮮という字をあてたようです 現在、地ハマといって売られているものはこのチョウセンハマグリのことで 大産地である茨城の鹿島灘では「汀線蛤」の字を当てて売られています 近年においては、鹿島産のハマグリが国産ハマグリの流通の大半を占めています 2年で4cm程度、7~8cmになるのに5~6年かかります 4年周期で豊凶の差が激しいので、以前は漁業の対象としては敬遠されてきましたが 近年、ハマグリの激減に伴ってチョウセンハマグリも高値で取引されるので 盛んに採られるようになり、厳しい漁業制限をかけて種の保存に努めています 余談ですが、碁石の白はチョウセンハマグリの殻が半化石化したものでできています 【シナハマグリ】 韓国、北朝鮮、中国から輸入され、国内で蓄養されて出荷されます スーパーなどでよく見かけるものは、このシナハマグリです 丸っこくやや茶色がかってツヤが無いのが特徴です 加熱すると身が縮むのが欠点ですが、値段が手ごろなので消費量は急激に伸びています しかし韓国などの産地側では、海岸線の埋め立てや水質汚染でシナハマグリも減っているそうです 蓄養や潮干狩りの獲物のため、日本の海に放流したシナハマグリが国産のハマグリと交雑し 各地での純粋なハマグリの絶滅を加速させたのでは?とも言われています 『はまぐりは塩次第』 ハマグリは身肉よりも調理したときに出るおつゆに旨みが出る貝ですので おすすめ調理方法はずばり吸い物です 作りかたは至って簡単 貝に水を入れて火にかけ、仕上げに塩を入れるだけ とても簡単ですが、塩がハマグリの旨味を引き立てる重要な役割をいたしますので 塩だけは上手に加減ください この塩加減がドンピシャにはまると、最高の吸い物になりますよ ぜひその塩梅をご探求くださいませ ちなみに、結婚の祝い膳にハマグリの吸い物が出されますが これを発案したのは八代将軍徳川吉宗といわれています これは、対になっている二枚の貝殻をはずしてしまうと 他の貝殻とはピタリと合うことが決してありません このことから夫婦和合の徴とされたためです 『ありそうでないハマグリの刺身』 ハマグリは肝臓の解毒作用を活発化するタウリンや粘膜を保護するビタミンB2 貧血の予防になるビタミンB12にカルシウムや亜鉛も含んでるので 生活習慣病や貧血、さらには肥満等の予防にも役立ちますよ さらには貝の旨みの特徴であるコハク酸に加えて、グルタミン酸、グリシンなど アミノ酸系の旨み成分がバランス良く含まれ、ハマグリの気品のある味を形成しています しかし、このおいしいハマグリも「生食は避けるように」と言われています これは、アノイリナーゼというビタミンB1を壊す酵素を含まれているからです ですが心配は御無用、加熱することで、この酵素は働かなくなります 必ず火をとおしてからお召し上がりくださいませ 『巷で流行っている白はまぐり』 2000年頃以降に日本の市場で「白はまぐり」などの名で売られているこの貝は 実は北アメリカ原産の外来種『ホンビノスガイ』で、はまぐりではございません もともと日本には存在していなかったので 原産地である北米大陸から、船舶のバラスト水に混ざり運ばれ 東京湾に定着したと考えられています ちなみに東京湾奥あたりでは大アサリとも呼ばれていますが 以前に書いた中部地方沿岸でよく食用とされる大アサリは、和名ウチムラサキであり別種です 『なぜ貝類を表す漢字に虫偏が多いのか』 蛤(はまぐり)、浅蜊(あさり)、牡蠣(かき)、蜆(しじみ)など 貝を表す漢字には虫偏がつくものが多いですが これは漢字が作られた中国で“虫”という概念が広く 昆虫以外にも貝類、蝦(えび)、蟹(かに)、蛸(たこ)などを含んでいるからだそうです 『はまぐりは一夜に三里走る』 環境の変化や汚染にとても弱い貝で、常に海中を走るがごとく素早く移動をしています それは「ハマグリは一夜に三里走る」といわれるほどです その移動方法は1~3mにも及ぶ粘液の紐を分泌し これを潮にのせて移動するというわけです 潮の干満を利用すると、その分速は1mに達すると言いますからいやはや驚きです
by yataiti1gou
| 2011-05-24 01:34
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